ここに置いた鍵知らない? 今朝お薬飲んだかしら? あら、すみません未だお返事してなかったですか? もうお愛嬌の域はとっくに過ぎて、時々がっかり。手に余ることや、きちんとしなければいけないこと、また失敗ではすまない大切なことは助っ人に頼むことに。
私の言う助っ人は、銀行の貸金庫であったり、警備会社だったり、保険会社である。
保険の見直しは、結構手間取った。すでに多かれ少なかれ、病気をしたり、数値が悪かったり、薬を服用していた。しかし、私のお願いした共済会の会社は、すべて現状を洗い出した上、不担保となる内容を双方が納得、了解できたので加入しなおした。私は70代にふさわしく、医療目的だけにしぼり、支払いも減じた。
近頃は、踏み台に乗ると落ちそうになり、不安定なことが不得意になる。めがねの都合で上のほうのねじが良く見えない。体はもちろんしなやかさに欠け、手が上手く伸びない。手の先の感覚も鈍感になっていて、小さいねじが中々留められない。色々なことが重なって、外灯の切れた電球の交換が困難になってきた。電気屋さーん来て下さい!となる。
大手の量販店で電気製品を買うのが普通になっている昨今、町の電気屋さんに知り合いがない。気がつけば、町の電気屋さんとはすっかり御無沙汰、ご縁は皆無、気が引けて頼み難い。
だけどここからがお付き合いの始まり。小さなお買い物から始めてはいかが? お付き合いの積み重ねは大きな力となるでしょう。大切なのは、身近な方の手助けです。
だけど、大手の量販店さんも懇切丁寧に手伝ってくれますよ。お店の性質上、電球を付けにきてはくれませんが、ある意味もっと大切なことを根気よく教えてくれます。
Kさんとは私がはじめてコンピューターを購入したのがご縁です。何を質問していいのか判らないほどコンピューター全部がわかりませんでした。Kさんは私の状態、希望をすぐに把握されて、大変ゆっくり、説明され、きっちり理解できるまで付き合ってくれました。もちろん最後には分からないことがあったら、いつでも来てくださいといってくれました。
ある日携帯電話を紛失してしまった。慌てて電話の使用を止め、事故も起きなかったが、孫との2、3年に及ぶ思い出の写真を一瞬にして無くしてしまった。いくら落胆してももう戻らない。
ショックが沈静した頃、警察からの連絡で、携帯電話はご親切な方の手を経てもどってきた。恐る恐る充電しカメラを開くと、懐かしい孫の幼い頃の顔がある。私は奮起し、もう一度あのむずかしい携帯電話の写真をコンピュータに取り込むソフトに挑戦した。
サポート番号にも日なが電話をしたがだめ。私はもっと新しい簡単なソフトが出来ているかとお店へ行ってみた。大きな店内の隅で小さな商品を丹念に整理している人、Kさんに再会した。
「少しは進歩したソフトもありますけど、よければ重いですけど、コンピュータとソフトをお持ち下さい買う前に一度見てからにしましょう」とコンピューターのはずし方やはずしたコードを記憶することなど、教えてくれた。ご自分の休日のメモも渡してくれた。
大雨が上がった日の午後、今ならお店は混雑していないだろうと、カートにすべてを入れて、出かけた。Kさんは私の困難を一つずつ解いていってくれた。思わず、このお仕事は忍耐ですね、と思わず口をついて出た。忍耐じゃありません、お客様の思わぬ質問や困ったことを解いて行くことの積み重ねで自分の勉強になりますから、と言ってくれた。いまどき、店頭で胸がいっぱいになるなんて。